自動車保険には、契約車両の運転者の範囲を限定することによって保険料を安くおさえることができる「運転者限定特約」という特約があります。
運転者限定特約の種類は保険会社によって異なりますが、一般的には「限定なし」「家族限定」「夫婦限定(本人・配偶者限定)」「本人限定」といった種類があり、以下のように運転者の範囲が広くなるほど保険料が高くなり、狭くなるほど保険料が安くなります。
運転者限定特約 | 補償される運転者の範囲 | 保険料 |
---|---|---|
限定なし | 本人や配偶者・同居する家族だけでなく、別居している未婚や既婚の子供、知人や友人も補償される | 高い ↑
↓ 安い |
家族限定 | 本人や配偶者・同居する家族、別居している未婚の子供が補償される | |
夫婦限定(本人・配偶者限定) | 本人と配偶者のみが補償される | |
本人限定 | 本人のみが補償される |
この様に、本人のみが運転する車なのであれば「本人限定」、夫婦のみが運転する車なのであれば「夫婦限定」、本人や配偶者・同居する家族のみが運転する車なのであれば「家族限定」といったように、運転者の範囲を限定する特約を付けることにより、保険料が割引になるわけですね。
以前は運転者限定特約が「限定なし」の契約者が半数以上を占めていましたが、近年では保険料節約を考える人が増えており、「限定なし」の契約率は減少傾向にあります。また、単身世帯や核家族世帯の増加に伴い、「家族限定」の契約率も減少傾向にあり、反対に「夫婦限定(本人・配偶者限定)」の契約率が増加傾向にあります。
引用:https://style.nikkei.com/article/DGXMZO38080260S8A121C1PPD001/
このような状況をふまえて、2019年1月からは、東京海上日動火災保険、三井住友海上保険、損保ジャパン日本興亜、あいおいニッセイ同和損保、といった大手損保会社で、一斉に「家族限定」が廃止になりました。また、それと同時に、三井住友海上保険、損保ジャパン日本興亜、あいおいニッセイ同和損保、では、それまで無かった「本人限定」が新設されました。
つまり、「家族限定」を廃止して、代わりに「本人限定」を新設している保険会社が傾向にあるわけです。
ですから、多くの保険会社では、運転者限定特約で保険料を節約する場合は、「本人限定」か「夫婦限定」のいずれかを選ぶことになるわけなんですね。
そこで今回の記事では、運転者限定特約の本人限定や夫婦限定の割引率はどれぐらいなのか、本人限定や夫婦限定にしたらどれぐらい保険料が安くなるのか、さらには本人限定や夫婦限定にする場合の注意点、といったことについてお話していきます。
あなたも自動車保険の運転者限定特約を本人限定や夫婦限定にして保険料を節約したいのであれば、ぜひ今回の記事をご参考ください。
運転者限定特約の本人限定や夫婦限定の割引率はどれぐらい?
まず、運転者限定特約の保険料の割引率についてですが、本人限定の場合は7~8%程度、夫婦限定の場合は6~7%程度、の割引率になっています。
一方、家族限定の場合は、割引率は1%とかなり低くなっています。冒頭で家族限定の契約率が減少傾向にあるというお話をしましたが、このように割引のメリットが小さいことも要因の1つと言えるのかもしれませんね。
運転者の範囲 | 割引率 |
---|---|
限定なし | 0% |
家族限定 | 1% |
夫婦限定(本人・配偶者限定) | 6~7% |
本人限定 | 7~8% |
では、運転者限定特約によって、保険料がどれぐらい変わってくるのか、実際の見積り事例をご紹介しましょう。
以下は、三井ダイレクト損保で、運転者限定特約を「限定なし」「家族限定」「夫婦限定」「本人限定」にして、その他の条件を同じにして見積りをとった場合の保険料の違いです。
運転者の範囲 | 年間の保険料 |
---|---|
限定なし | 38,730円 |
家族限定 | 38,290円 |
夫婦限定(本人・配偶者限定) | 35,720円 |
本人限定 | 35,300円 |
※見積り条件…保険期間:令和元年(2019年)5月15日~令和二年(2020年)5月15日、ノンフリート等級:16等級、事故有係数適用期間:0年、契約車両:トヨタアクア(NHP10)、初度登録年月:2018年1月、登録番号の運輸支局:練馬、年間走行距離:3000km以下、使用目的:日常・レジャー、記名被保険者:契約者と同じ、記名被保険者の年齢:40歳、運転免許証の色:ゴールド、対人・対物賠償保険:無制限、対物超過修理費用特約:あり、他車運転特約:あり、搭乗者傷害保険:1000万円、人身傷害保険:5000万円、無保険車傷害特約:2億円、車両保険:155万円(免責金額5-10万円)、身の回り品補償特約:10万円、運転者年齢条件:35歳以上補償
ご覧の通り、「家族限定」の場合は「限定なし」と保険料の差がほとんどありませんが、「夫婦限定」や「本人限定」の場合は、保険料が3,000円以上も安くなりました。
ということで、運転者限定特約を「夫婦限定」や「本人限定」にすることによって、一定の節約効果があると言えるわけです。
運転者限定特約を本人限定や夫婦限定にする場合の注意点
運転者限定特約を本人限定や夫婦限定にすることによって、保険料を節約することができますが、以下の点には注意が必要です。
同居する親族や別居する子供が運転する場合は補償されない
運転者限定特約を本人限定や夫婦限定にすると、同居する親族や別居する子供が運転する場合は補償されないので注意が必要です。
例えば、運転者限定特約が本人限定や夫婦限定の状態で、同居する子供が免許を取って契約車両で運転の練習する場合や、別居する子供が帰省して契約車両を運転する場合などは、事故を起こした際に補償されません。
なので、同居する親族や別居する子供も契約車両を運転する機会が多いのであれば、運転者限定特約は「限定なし」か「家族限定」にしておきましょう。
ただし、同居する親族や別居する子供が契約車両を運転するのが年に1~2回程度と限られているのであれば、セブンイレブンなどのコンビニでも手軽に加入できる1日自動車保険(1日500円程度)を利用すると良いでしょう。
友人や知人に運転を代わってもらう場合は補償されない
運転者限定特約を本人限定や夫婦限定にすると、友人や知人に運転を代わってもらう場合も補償されないので注意が必要です。
例えば、運転者限定特約が本人限定や夫婦限定の状態で、旅行中に友人に運転を代わってもらった場合や、ゴルフに行くときに会社の後輩に運転してもらった場合などは、事故を起こした際に補償されません。
もちろん、友人や知人が任意保険に加入していて、その保険に他車運転特約が付いている場合は、その保険を使うことができます。ですが、友人や知人に運転を代わってもらっておきながら、その上に彼らの保険までも使うとなると、申し訳ないですよね?
なので、友人や知人が契約車両を運転する機会が多いのであれば、運転者限定特約は「限定なし」にしておきましょう。
まとめ
今回のお話いかがでしたでしょうか?
自動車保険は運転者限定特約で運転者の範囲を限定することによって、保険料を安くおさえることができます。保険料の割引率としては、本人限定の場合は7~8%程度、夫婦限定の場合は6~7%程度、となっており、一定の節約効果が期待できます。
ただし、運転者限定特約を本人限定や夫婦限定にする場合は、同居する親族や別居する子供が運転する場合は補償されない、友人や知人に運転を代わってもらう場合は補償されない、といった点については注意が必要です。
ということで、あなたも自動車保険の運転者限定特約を本人限定や夫婦限定にして保険料を節約したいのであれば、ぜひ今回の記事をご参考にしていただければと思います。
尚、同じ運転者条件特約や補償内容であっても、保険会社によって保険料がかなり変わってきます。
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