✔ 当て逃げされた場合は、車両保険は使えるの?
✔ 当て逃げされて車両保険を使った場合は、翌年の等級はどうなるの?
・・・などなど、あなたは今、車を当て逃げされた場合の自動車保険の補償について、疑問をお持ちでしょうか?
車を当て逃げされた場合は、ドライブレコーダーや監視カメラに明確に録画でもされていない限り、加害者である当て逃げ犯がつかまる可能性は低いです。
そして、当て逃げ犯がつかまらない場合は、相手方の対物賠償保険でこちらの車の修理代を補償してもらうこともできないわけです。
当て逃げされた場合は、自分の加入している車両保険で車の修理費用をカバーできるのかな?それと、当て逃げで車両保険を使ったら、翌年の等級はどうなるんだろう?
当て逃げされた場合、車両保険を使える場合と使えない場合があります。また、当て逃げされて車両保険を使う場合には、翌年の等級ダウンなど、いくつか注意すべき点があります。
そこで今回の記事では、「当て逃げ」の定義について、当て逃げされた場合に車両保険は使えるのか、当て逃げされた場合の対処法、さらには、当て逃げされて車両保険を使う場合の注意点、といったことについてお話していきます。
あなたも、車を当て逃げされた場合の自動車保険の補償について疑問をお持ちなのであれば、ぜひ今回の記事をご参考にしてください。
そもそも「当て逃げ」とは?
まず、「当て逃げ」とはどのような行為のことをさすのか、その定義や罰則規定についてお話しておきましょう。
当て逃げとはどのような行為なのか
当て逃げとは、車を運転中に物損事故を起こしたにもかかわらず、危険防止措置や警察への報告をせずにそのまま走り去ってしまうような行為のことをいいます。
例えば、コインパーキングで他の駐車してる車にぶつけたのに逃げてしまったり、信号待ちの車に追突してそのまま走り去ってしまったり、などの行為が挙げられます。
また、車以外にも、車の積み荷、ガードレール、電柱、信号、建物、家屋、塀、壁など、他者の財物を損傷させて、そのまま走り去った場合は当て逃げが適用されます。
「当て逃げ」と「ひき逃げ」の違いは?
「当て逃げ」と「ひき逃げ」の違いとしては、「当て逃げ」は物損事故、「ひき逃げ」は人身事故、になります。
例えば、信号待ちの車に追突してそのまま走り去った場合、相手側の車の損害のみであれば「当て逃げ」になりますが、相手側の運転者や同乗者の身体にも損害があれば人身事故になりますので「ひき逃げ」になります。
なお、道路交通法第72条により、運転手は物損事故や人身事故を起こした際には、危険防止措置義務と警察への報告義務を負うことが定めらており、これに違反した場合は罰則が科せられます。
なので、物損事故や人身事故を起こしてそのまま逃げるような「当て逃げ」や「ひき逃げ」をした場合には、罰則が科せられることになります。
当て逃げした場合の罰則規定
車の運転中に物損事故を起こしてそのまま通り過ぎるような「当て逃げ」をした場合は、以下の罰則が科せられます。
- 危険防止等措置義務違反:1年以下の懲役または10万円以下の罰金
- 報告義務違反:3ヵ月以下の懲役または5万円以下の罰金
さらに上記以外にも、当て逃げの場合には違反点数が合計7点(安全運転義務違反:2点、危険防止措置義務違反:5点)となり、30日間の免許停止処分となります。
一方、「ひき逃げ」の場合は、以下のように罰則規定がさらに重くなります。
- 救護義務違反:10年以下の懲役又は100万円以下の罰金
- 過失運転致死傷罪:7年以下の懲役もしくは禁錮又は100万円以下の罰金
やはり、人身事故となる「ひき逃げ」の場合は、物損事故となる「当て逃げ」の場合よりも、罰則が重くなるわけなんですね。
このように、物損事故や人身事故を起こした場合に車をとめずに走り去ってしまうと、重い刑罰が科せられるわけです。
なので、我々ドライバーが人身事故や物損事故を起こした場合には、どんな小さな事故であっても車を停めて、危険防止措置、被害者の救護、警察への報告、などの義務をしっかりと果たす必要があるわけです。
当て逃げされた場合に車両保険は使える?
車を当て逃げされた場合においては、車両保険を使える場合と使えない場合とがあります。
車両保険には、補償範囲が異なる「一般型」と「エコノミー型」の2つのタイプがあり、当て逃げが補償されるのは「一般型」の車両保険の場合になります。
なので、「エコノミー型」の車両保険を付けている場合は、当て逃げのケースでは補償の対象外となります。
車両保険の「一般型」と「エコノミー型」のそれぞれの補償範囲は、以下の通りです。
補償範囲 | 一般型 | エコノミー型 |
---|---|---|
車やバイクとの事故 | 〇 | 〇 |
単独事故 | 〇 | × |
転落・転倒 | 〇 | × |
盗難・いたずら・落書き | 〇 | 〇 |
当て逃げ | 〇 | × |
窓ガラスの損害・飛び石による損害 | 〇 | 〇 |
火災・爆発・台風・洪水・高潮など | 〇 | 〇 |
地震(津波や地震起因の火災含む)・噴火 | × | × |
ご覧の通り、「一般型」は、単独事故、転落・転倒、当て逃げ、などといったケースにおいても補償されるのに対して、「エコノミー型」においてはこれらのケースでは補償されません。
ですから、当て逃げ被害に備えておきたい方や、運転技術に自信が無い方、狭い道路を運転することが多い方であれば「一般型」、単独事故や当て逃げはしょうがないと割り切れる方や、運転に自信のある方は「エコノミー型」がおすすめです。
ただし、「一般型」の車両保険は補償範囲が広い分、「エコノミー型」よりも保険料が割高になります。
そこで、車両保険を「一般型」にしつつも、保険料を安くおさえるために有効なのが、複数の保険会社から見積りをとって比較検討することです。
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当て逃げされた場合の対処法
「ショッピングモールの駐車場に駐車していたらぶつけられていた」、「信号待ちをしていたら後続車に追突されてそのまま逃げられてしまった」など、実際に当て逃げ被害にあった場合は、泣き寝入りするのではなく、正しく対処をする必要があります。
ということで、当て逃げされた場合の対処法についてお話していきましょう。
STEP1:警察に連絡する
当て逃げ被害にあったら、まずは警察へ連絡しましょう。
なぜなら、たとえ軽微な被害であっても、当て逃げは危険防止措置義務違反及び報告義務違反という犯罪行為になり、警察へ通報する必要があるからです。
また、警察へ届け出をすることによって事故証明書を作成してもらうことになりますが、事故証明書は加害者への損害賠償や自分の自動車保険を利用する際の証明書にもなります。
つまり、犯罪を通報するという意味でも、保険会社から保険金の支払いを受けるための証明書を得るという意味でも、まずは警察への連絡が最優先になるわけです。
STEP2:加害者の情報を記録しておく
当て逃げ被害にあったら、車種、ナンバー、運転手の特徴など、加害者の情報を記録しておくことが大切です。
車種名については具体的な名称がわからない場合もあると思いますが、その場合は「黒いワゴン車」や「白いセダン」などといったザックリした車の色や形だけでも良いので、メモするなりして記録しておきましょう。
また、ドライブレコーダーやスマートフォンなどで画像や映像として記録しておくことも事故解決に役立ちます。
今ではドライブレコーダーは比較的安価で購入できますので、いざとういう時の自衛のために設置しておく価値はあると言えるでしょう。
なお、以下の記事にもありますように、一部の保険会社においては、ドライブレコーダーを契約者に貸与して、録画映像を事故解決などに有効活用する「ドライブレコーダー特約」を付けることもできます。
✔ 自動車保険のドライブレコーダー特約って、どんな特約なの? ✔ ドライブレコーダ …
STEP3:監視カメラの映像を確認する
当て逃げの事故現場が駐車場などの監視カメラが設置されている場所であれば、その記録映像から加害者の情報を得られる可能性があります。
なので、もし事故現場付近に監視カメラがあった場合は、駐車場の管理会社に連絡して監視カメラの映像を見せてもらいましょう。
ただし、駐車場の管理会社によっては、警察が積極的に介入してこない物損事故の場合は、他の利用者へのプライバシー保護の観点から、安易に監視カメラの映像を見せてくれない場合があります。
その場合は、交通事故に強い弁護士に相談して、弁護士から駐車場の管理会社に連絡してもらい、監視カメラの内容を確認してもらうのが有効です。
以下の記事にもありますように、自動車保険には弁護士費用特約を付けることができますので、この特約を利用すれば、当て逃げ被害の際にも弁護士費用等を補償してもらうことができます。
✔ 自動車保険の弁護士費用特約は付けた方が良いの? ✔ 自動車保険の弁護士費用特約 …
STEP4:保険会社へ連絡する
こちらに過失の無い事故で損害を受けた場合は、基本的には加害者側に加入している保険会社に連絡してもらい補償してもらうことになります。
ですが、当て逃げ被害の場合は、加害者側が見つからないケースが多いので、自腹で車を修理するか、自分の加入している車両保険を利用することが多いです。
先ほどもお話しましたように、「一般型」の車両保険に加入していれば、当て逃げのケースでも補償されますので、車両保険を使う場合は保険会社へ連絡しましょう。
また、加害者が見つかりそうであったり判明している場合には、弁護士費用特約を利用するのが有効ですが、その場合も弁護士費用特約を利用する旨を保険会社に伝えておきましょう。
ということで以上が、当て逃げされた場合の対処の流れになります。
当て逃げされて車両保険を使う場合の注意点
車を当て逃げされて車両保険を使う場合には、以下の点に注意が必要です。
3等級ダウンして次年度の保険料が上がる
当て逃げされて自分の車両保険を使った場合は、次年度の等級が3等級ダウンして事故有係数適用期間が3年加算され、その分保険料が高くなります。
なので、車の修理代が少額なのであれば、車両保険を使わずに自費で修理した方が、トータルの出費をおさえることができる場合があります。
車の修理代の見積りが出たら、車両保険を使うか否かを保険会社や代理店に相談してみましょう。
車両無過失事故に関する特約は使用できない
一部の保険会社では車両保険に「車両無過失事故に関する特約」という特約が自動セットされている場合があります。
この「車両無過失事故に関する特約」は、もらい事故(こちらに過失のない事故)で車両保険を利用した場合に、他に等級が下がる事故を発生させていなければ、次年度は1等級アップする特約です。
ただし、この特約を利用するにあたっては「相手方の確認ができていること」という条件を満たす必要があります。
なので、相手方が不明である当て逃げの場合は「車両無過失事故に関する特約」を利用することができません。
ということで、この特約があっても無くても、当て逃げで車両保険を使った場合は、次年度の等級が3等級ダウンします。
免責金額によっては支払われる保険金が少ない
車両保険には免責金額(契約者が損害額の一部を自己負担する金額)を設定することができ、その分保険料を安くすることができます。
なので、車両保険に免責金額をを設定している場合は、支払われる保険金が車の修理代よりも少なかったり、全く支払われない場合もあります。
例えば、免責金額を10万円に設定していた場合、バンパーに少し傷がついた程度の軽微な損傷であれば修理代は少額なので、保険金が1円も出なかったり、出たとしても少額、というケースもあるわけです。
先ほどもお話しましたように、当て逃げで車両保険を使った場合は次年度に3等級ダウンとなって保険料が上がりますので、軽微な損傷であれば保険を使わずに自費で修理した方がトータルコストをおさえることができる場合があるわけです。
加害者が見つかった場合に損害賠償請求できない
自分の車両保険を使った場合は、たとえ加害者である当て逃げ犯がみつかったとしても、加害者に対して損害賠償請求をすることができません。
なぜなら、自分の車両保険を使うことよって、そこから支払われた保険金で損害が穴埋めされたとみなされるからです。そして、加害者に対する損害賠償請求権は保険会社に移ることになります。
ですから、ドライブレコーダーや監視カメラに明確に録画されているなど、犯人がつかまる可能性がある場合は、ひとまずは車両保険を使わずに、相手側から賠償してもらう方向ですすめた方が良いしょう。
ということで以上が、車を当て逃げされて車両保険を使う場合の注意点になります。
まとめ
今回は、車を当て逃げされた場合に車両保険は使えるか否か、車両保険を使う場合の注意点、などについてお話しました。
おさらいしますと、車を当て逃げされた場合は、「一般型」の車両保険を付けていれば、車両保険を使うことができますが、「エコノミー型」の場合は使うことができません。
また、当て逃げで車両保険を使う際には、3等級ダウンして次年度の保険料が上がる、設定した免責金額によっては支払われる保険金が少ない、加害者が見つかった場合に損害賠償請求できない、といった点に注意が必要です。
ということで、当て逃げ被害に備えておきたい方や、運転技術に自信が無い方、狭い道路を運転することが多い方であれば、補償範囲の広い「一般型」の車両保険を付けておくことをおすすめします。
なお、車両保険を「一般型」にすると保険料は高くなってしまいますが、複数の保険会社から見積りをとって比較検討することよって保険料を安くおさえることが可能です。
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